孤悲(こい)
万葉の昔 「恋」を「孤悲」と書いていました
ひとり(孤)さみしく あなたを想う 悲しい気持ちです
恋をして 相手がいての感情なのに ますますさみしくて 悲しくなる
孤悲の気持ちがわたしを覆う
いつも いつまでも 一緒に居たい
ひとり 悲しい想いが 切なくて
気持ちがあたたかくなるときもあれば
さみしくて 悲しいときもある
どちらも「孤悲」
感情は さまざまな想いがごちゃ混ぜになっている
孤悲をして、うれしくて 悲しくて 楽しくて 愛しくて だけど憎いことも
腹が立って、嫌いで 憎くて うざくて だけど愛しい
ひとつの感情に ひとつの想いだけならどんなに気持ちが楽だろう
ひとつの感情に さまざまな想いが同居している だからいつまでも悩んでしまう
でも、
ひとつの感情に ひとつの想いだけならば、人は誰とも生きてはいけない
誰かと居てうれしくても、うれしさは続かない
腹が立って人を遠ざけて、気付いたらひとりぼっち
哀しさがわたしを覆った後 楽しくない現実に出会う
ひとつの感情に さまざまな想いが同居している だから人は誰かと生きていける
誰かと居てうれしくて、腹が立って、哀しくて、でも楽しくて、
憎さの中に愛があり 愛の中に憎さがある
優しさの中に憂いがあり 憂いの中に優しさがある
濁った心に清流が流れ 清流の中に濁りが取り込まれる
いろいろな感情があるようだけれど 実は感情ってひとつだけ
ひとつだけの感情に、いろいろな想いが詰まってる
孤悲しい…
「悲」という字は、心が両手で引き裂かれている様を象(かたど)っている
さみしさも かなしさも 心引き裂かれるほどの想いの表われ