独生 独死 独去 独来

独生 独死 独去 独来(どくしょう どくし どっこ どくらい)

〔『仏説無量寿経』より(『真宗聖典』60頁)〕

「人間は、生まれてくるのも独り、死ぬのも独り」

いのちは大事だ。
いのちを大切に。
人は、一人では生きていけない。
そういう言葉をよく耳にする。間違ったこととは思わないけれど、それだけでは足りない気がする。

いのちが大事、大切なのは分かってる。だけど、自分のことを大切にできない。
人は一人では生きていけないことはわかってる。でも、誰かと一緒に仲良くなんてできない。
そのような言葉もまた、よく耳にする。その言葉もまた、間違っているとは思わない。

「独生 独死 独去 独来(人間は、生まれてくるのも独り、死ぬのも独り)」という教えで言い表されている「独り」は、個人のことでありながら、みんなのことでもあります。
お釈迦さまはお生まれになったとき、「天上天下唯我独尊(天にも地にも、ただ我ひとりにして尊し)」と言いました。お釈迦さまは、「私のみ尊い」と言ったのではありません。
「生きとし生けるもの誰もがみな、誰とも代わることのできないいのち、ただひとつの尊いいのちを生きています」ということを言われました。
「天上天下唯我独尊」もまた、個人のことでありながら、みんなのことでもあります。

「独り(ひとり)」という言葉に含まれている「みんな」。
「みんな」という言葉には、「独り(ひとり)」がいっぱい詰まっている。
このような「独り」の意識が、共に生きてあるということを実感させ、他と共にある私を大切に想うこころにつながるのだと思います。